ジェラート
「嬢ちゃんよく来てくれるねぇ」
そう声をかけると黙々とジェラートを食べていた彼女が真ん丸い目をしてこっちを向いた。けほけほと咳き込む姿に突然話しかけて悪かったなと心の中で謝る。ごくりとグラスの水を飲みこんで落ち着いた様だ。
「ごめん、驚かすつもりはなかったんだ」
俺は空になったグラスに水を注ぎながら話しを続ける。
「週1だろ」
「はい」
「甘い物よく頼んでるよな」
「はい」
「ジェラート好きなんだ」
「はい」
「俺、凄いおいしいジェラートの店知ってるんだけど行かないかい」
「は、い?」
「ここ木曜が定休日だからさ。木曜の3時に店で待ってる」
「???」
内ポケットから万年筆と名刺を取り出して他の客に悟られないよう素早く電話番号を書く。 戸惑っている彼女に「待ってるから」と念を押して何事も無かったかのようにカメリエーレの仕事に戻る。 (仕事の鬼に見つかっては大変だ)ちらっと彼女を伺うと渡した名刺を持ってオロオロしていた。



(君ともっと話がしたい!)