あれから私は順調に回復して犬神が現れる前の生活が戻ってきた。



「よいしょっと」
仕舞っていた棚から瓶を取り出す。 中には食べごろになった梅。犬神は食べるのを楽しみにしていたのにな。
私はせっかく作ったのだけど未だに1つも食べられないでいる。もし、犬神が今の私が生きている内に戻ってきたら一緒にこの瓶を開けて食べたいから。人の命はとても短い。私が今の私である内に犬神と再会することは無いと思う。でもほんの少しの希望を持って待っていても罰はあたらないから犬神と再開するという希望は私の胸の中に持ち続けていようと思う。


脈々と続く人の命の中で私たちが出会ったのは星の瞬きほどの一瞬なのだろうけど、この一瞬を私も犬神を忘れない。
「今度は私が待たなきゃね。」
瞬いていた星が暗闇にすうっと流れた気がした。



瞬きの狭間


(08.12.31)