sun×moon(stone)=revaival(1)








ピピピピ、と小鳥に似た電子音が鳴る。
朝か………。ぼんやりする意識、瞼を通して感じる朝日。目を開かなくとも音の発信源はどこにあるか分かる。手を伸ばしてスイッチを切り、体を起こした。
「空が青い」
本日はぬける様な青空だ。





窓を開けると朝の心地よい空気部屋に入る。私はすう、と吸い込み肺を空気で満たす。冷たい空気が体を目覚めさせてくれるのだ。
そのまま顔を洗って食堂へ行く準備をする。基本的に任務外での服装は自由なエクソシスト。私も例外ではなく、クローゼットにはそれなりにワードローブがある。滅多に町に買い物に行く機会はないけれど、任務と鍛錬の合間の息抜きに誰かを伴って、時には一人で買い物を楽しむのだ。
「今日は団服にしとこう」
教団が移動して、新しいメンバーが入ってきてからというもの、新入りの私が私服を頻繁に着ることは憚られるように思って、ほとんどを団服で過ごしていた。なぜって、現在エクソシストとして役にたっていない自分を周りの人たち、特に教団が移動してからここに配属されてきた人たちは私を審議しているからだ。もちろん、顔を突き合わせてはどうの、と話している訳ではない。私の日頃のエクソシストとしての態度を見て私に対する態度を決めている。だから、いつでもAKUMAに向かう覚悟ができているところを、それが自信がなくても見せてかなければいけないと思っている。
「次に私服を着る日っていつ来るのかな」
ため息が出た。
ポイッと団服をベットに投げる。これももう、着慣れたものだ。動きやすいところも気に入っている。流石科学班製。
私の団服はミランダと似たパンツタイプ。サッと穿けばいいので楽なものだ。
「さてと。行きますか!」





「おはようございます、ジェリーさん。朝食セット一つとコーヒーね」
「おはよう、。オーケイよ」
朝食を頼むと知った顔を捜す。出来れば一人でゆっくり食べるか、ティーンズたちやミランダと食事をしたい。
「オイ、ねーちゃん」
「はい?」
呼ばれて振り向くも誰もいない。
「下だっての!」
「あ、ティモシー。おはよう」
「気付けよ、のろま!」
「のろまっ……て、もう………。いただきます」
「無視すんなよな!」
無視を決め込んで食べ始めようとした私を見て、朝食の乗ったトレーを音を立てて置いた。
「お行儀悪いよ」
「うるせーやい!小言は聞き飽きたっつーの」
「そやで、マスター。家庭教師の嬢ちゃんにまた叱られるで」
「オマエも黙れよ」
私が耐えられずに吹き出すと、ティモシーは憤慨して大口で食事を始めた。
「でも意外。ティモシーも小心者なのね。私と一緒にご飯食べるなんて」
「ねーちゃんに言われたかないやい」
「ま、確かに」





「ねえ、ティモシーのイノセンスって額の玉なのよね。」
「そうだけど?」
「えーと、他の相手に自分を憑依させて、憑依相手の能力を使って戦うんだっけ」
「うん」
「じゃあ、残った体はどうなるの?そのままだと危険じゃない?」
「いや、憑神がいるから大丈夫。こいつ、俺の体に憑依できるから逃げてもらうんだ」
「ふうん………。デメリットをフォローできてるんだ」
後ろを窺うと憑神はピースサインをしていた。
「他の奴に見えないのが難点なんだけどな」
「へ、へぇー………」




「ティモシーについてなくていいの?」
食べ終わるとティモシーは不機嫌な顔をしてどこかへ行ってしまった。
「大丈夫やで。家庭教師の嬢ちゃんとお勉強やから」
「お勉強、ね。私もしないとな」
私とティモシーはクラウド元帥の門弟にくだった。ティモシーより少しだけ入団の早かった私は、彼の姉弟子という立場だ。けれど、未だに一度もイノセンス同士で戦ったことはない。
「それなら、今から戦ってみない?」
「はぁ?!それならって何?自分の心の中だけで喋らんといて!」
「ごめん、ごめん。憑神と私のイノセンスとの初試合をしようっていう話。ほら、私たちまだ戦ったことないじゃない?ここはひとつ、私のお勉強に力を貸してくれたら嬉しい」
「待ちぃや、ワイはマスターおらんと戦えんよって!そりゃあ、嬢さん酷やで!」
急いで私と距離をとる憑神。
「あはは、ごめん、嘘だよ。イノセンス同士なら憑神も透過しないんじゃないかと思って」
「それや!」
ぱっと憑神の顔が明るくなった。
「今夜、決行や!!」



(10.04.21)