Setting the my world.








私は鍛錬の時間が憂鬱だ。





"人並み”それが自己評価。ただし自分と比較する対象はイノセンスやAKUMAとはおよそ関係のない普通の人間のことだ。
「よし、大体そろったさー?」
最後に修練場に集まったファインダーを確認するとそれぞれが相手の交渉を始める。私はなるべく人の目に着かない様にソロソロと間を掻い潜り、目的の人物を探した。
「リナリー、組み手いい?」
「ええ」
にこり、と笑うリナリーは花の様。が、彼女が繰り出す衝きと蹴りは強烈だった。
「うわっ!!」
「ッ!!」
「ちょっ……と!」
細身の体からは想像しがたい威力と速度に私は応じるのが精一杯だ。
正拳が顔の横を掠め私は左に傾く。すると蹴りが体幹を狙ってやってくるのを左手をバネにギリギリで避ける。リナリーは片足を軸に回転し、そのまま蹴りを避けた私に再度狙いを定める。
「くっ!」
低い姿勢が功を奏し、私の足はリナリーが軸にしている片足にストレートに蹴りをだした。
「!!」
体に衝撃が走る。
「痛っ!」
腕が自分の体重を支えられなくて、修練上の床に突っ伏してしまったのだ。
「っへ〜!上手くなったじゃん」
「ありがと」
手を差し伸べてくれるラビの顔は笑っている。褒めてくれているのだろう。ネイティブの速度にはついていけないが、所々聞こえてくる単語で私の推測は当たったと分かった。
気になるリナリーの様子は……。
「すごいわ」
起き上がっているところを見ると、私はどうやらリナリーの体制を崩すことができたらしい。
改めて終了の礼をする。
とたん、ドッと拍手がわき起こった。
「なっ何?!」
見れば、修練場にいた人間が皆こちらを向いている。
顔しか知らないファインダーたちに背中をバシン!と叩かれた。
「皆、の上達が嬉しいのよ。、すごく頑張っているから」
「………」
エクソシストになって、自分が戦える程の力がなければ同じ立場のエクソシストにも、教団で働いている人たちにも申し訳ないと思った。 ”黒服”というだけで優遇されることもある。だけどそれを受けるのは力のあるエクソシストであって欲しく、一般人に近い私には苦痛だった。強くならなければいけないと思った。あまりにも他の人との差が激しく、修練場に通うのは憂鬱だった。組む相手はずるくも同性ばかり。周りの目が私を蔑んでいるかに見えた。
「あ、ありがとう。ううん、Thank you」
目頭が熱い。
潤んでいるだろう目をみせたくなくて他所に顔を向けるとアレンくんと視線が弾けた。
「頑張りましたね」
「うっ………」
ぽろり。涙はすぐに零れてしまった。





「さあ、。次のお相手は誰にする?」
花の笑顔に背中が冷たくなる。
「誰でもいいわよ、私意外で」
「分かってたのね」
「I know」の声が全員分木霊した。


(10.04.21)