指先のキラ








私は、それを秘密にするつもりも無かったし、聞かれればすぐに答えただろう。
「私には憑神が見えている」と。





年の近いエミリアとはそれなりに話すようになった。彼女の性格を思えば物怖じはしなさそうだし、私はエクソシスト、と言っても近寄りがたい雰囲気ではないのは確かだ。
「で、はアイツに何から教えたらいいと思う?」
「何からって……」
「何から教えたらアイツが戦いに出たときに役立つかってことよ。私はやっぱり体術からだと思うのよね。戦うには強くなくっちゃ、死なれたら困るしね」
私が困るんじゃなくて、教団の人たちが困るって意味ね!と彼女は慌てて付け足した。
「うーん、何だろう。アレンくんとかに聞いておくね」
残念ながら、私は新米で経験も浅いしアドバイスできることなんで何もない。それよりもここの言語をマスターしなくては。教えてほしいのは私の方だ。私はエクソシストの話を聞いたり鍛錬をしたり、調査書を読んだり知識と技術を得ている最中。
今、私が戦闘に出ても役に経たないと思う。





「あっ!戻ってきたわね、ティモシー!!」
鬼の形相になった彼女に怯えつつもティモシーが戻ってきた。
「うっせー!戻ってきてやったんだよ!」
ティモシーは隙あらば勉強から逃げようとするけど、放っておくとその内戻ってくる。彼は彼なりにクラウド元帥の「勉学もエクソシストの大事な修行だぞ」という言葉を聞きいれ、しっかりとエクソシストになろうとしているのだ。
私も負けられない。膝に置いていた手に力が篭った。
「嬢さん」
「ひぁっ……」
いきなり聞きなれない声を掛けられて飛び上がりそうになった。
心臓がバクバクと脈打つ。
「何だ、憑神かー」
はぁ、と安堵のため息をつく私に憑神は長い指を一本口に当てて笑った。
おちゃらけた憑神の好きそうなことだ。機嫌よく笑う憑神に私も自分の指を口に当て笑う。
それが奇妙に心地良かった。
ティモシー、エミリアと共に去って行く憑神を見て気付いた。
「憑神とは英語でなくても意思疎通ができてるわ」



(10.04.21)