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時計の針がもうすぐ18時をさそうとしている。そろそろ来るか、と焦りを覚えて視線を横に流すと同じくエプロンをしたレジの相方がにやっと笑った。 重い扉がゆっくり開いてどこにでもいるような灰色のパーカーにジーンズ姿の少年が入って来る。少年はそのままお菓子のコーナーに直行する。 「私、在庫チェックしてくるね」 隣のニヤニヤした視線から逃れたかったのだが、わき腹を掴まれて引き戻された。お腹を掴まれたままレジのところまで戻されてようやく手が離れる。パーカーの男の子が会計をしにこちらに足を進めてきたのを感じてぐっと歯を食いしばる。横ではくくっと言う噛み殺すような笑い声。この瞬間が1日で一番恥ずかしい。 「さーん、ちょっとこっちにきてくださーい」 奥から私を呼ぶ声に天の助けとばかりに飛び込んでいった。 レジの方から2人の男の声がする。 「おお、長曾我部殿。いつもが世話になっております」 「いいってことよ!いつも彼女の迎えご苦労さん」 「あれでなかなかそそっかしい所があるので心配でいけませぬ」 「可愛がられてんな、。ほい、258円になります」 気まずそうに笑いを堪えている仲間に言い訳もできない。下手に口を開けば襤褸が出てからかわれるのが落ちだ。エプロンをロッカーにかけているとレジへ続く扉が少し開いて長曾我部のすごく楽しそうな顔が現れた。 「お前の彼氏すっげー過保護」 家までの帰り道を二人並んで歩く。彼の片手にはコンビニで買ったお茶と麦チョコ。手のひらにたくさん出して一気に口に放り込むとガリガリと音を立てて噛み砕いていく。歯が折れそうな音である。 「ん?いるか?」 片手を出すとこんもりと麦チョコの山ができて零れていくのを慌ててバックを持った手の方で受け止める。それを口に入れると口内に甘くて香ばしい味が広がった。 「あのさ、バイト先に来られると恥ずかしいんだけど」 「良いではないか。その後、夕飯の材料買うのだから某がいた方が荷物持ちに役立つであろう」 「それは有難いんだけどコンビニまで迎えに来るのを止めて欲しいの。せめて外で待つとか、その辺の店で待つとかしてよ」 「それは無理で御座る。某は姉上の働いている姿が見たいのだ」 麦チョコを潰さんばかりに握り締める幸村。すっとぼけるので私はとうとう問いただす。 「………違うでしょ。本当は彼氏気取りしたいんでしょ。分かってるんだからね。元親との会話聞いたんだからっ」 「バレては仕方ない」 後ろ髪をはためかせて目の前から消えていく。あの子はとても足が速いから追いつこうとは思わない。こういう時こそゆっくりあるくのだ。暫くのんびり歩を進めているとスーパーの前に座っている弟を発見。無視して自動ドアを抜けると「姉上ぇー」というなんとも情けない声が私を追いかけて来た。 |