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「守備はどうだった……って聞かなくてもその顔見たら一目瞭然か。うわっ、旦那こけないでよ」 あれからというもの、ちゃんに『お手伝い』してもらう度に呆けてしまって、コンビニにに行けばお金だけ払って商品持たずに出ちゃったり、今日は商品忘れなかったなと思ったら開封しないで袋ごとお菓子に齧りついたりなんかは日常茶飯事だ。 「そんなに好かったんだ?」 「……はぁ」 返事の代わりに恍惚を含んだため息が返ってきた。こりゃあ相当お気に召したらしい。まあ、俺としちゃ二人がもっと仲良くなってくれればそれに越したことはないからね。凄く嬉しいけど。うん。 「あーあ。本当は2ケツするはずだったのにね。旦那が色ボケして自転車の車輪に足を引っ掛けて怪我するから俺様自転車乗れないんだけど!」 2人の仲がいいのがちょっと羨ましくて嫌味を含めて旦那に言い放ったけど、恍惚を含んだままの奇妙な笑みを返されて気持ち悪かった。 「ただいま帰った」 誰もいないはずなのにそう言って玄関を開けると女物の靴が一足揃えて置いてあった。それは見覚えのあるもので、誰のものか直ぐに思い出せた。(へぇ、旦那もやるね。合鍵渡してんだ) 「これはこのページでよいのだろうか」 そう言って旦那はちゃんの横からそっと小説を取って栞を挿し直し、彼女の鞄に入れた。 「え、嘘」 「何が嘘なのだ?」 それからも、布団では暑かろうとタオルケットを探してちゃんに掛けてあげたり、枕をそっと頭に敷いてあげたり、かいがいしく世話をする姿が前の旦那からはとてもじゃないけど想像できなくて心底驚いた。今まではどこか自分中心に世界が回っているような子どもみたいなところがあったのにこの変わりようはちょっと信じられない。 「旦那はちゃんに相当惚れてるんだねぇ」 男にしては大きめの瞳を更に大きく開いて頬を染めて。照れくさそうにしているけど凄く胸を張って旦那は言った。 「………そうだ。某はが好きだ」 前のように「破廉恥だ!」と暴れなくなったのを見るとやっぱり恋って人を変えるんだなと思った。 (08.08.26) |