コンビニで買った夕食を持ち駆け足でマンションに戻る。脇には友人から借りたK-1のビデオ。この間の中継を見逃したといったら貸してくれた。それを小脇に挟んでマンションの階段を駆け上がる。丁度エレベーターが開いたが使わない。3階にある我が家はエレベーターを待つより非常階段を駆け上がった方が早いし鍛錬になる。勢い良く3段飛ばしで階段をガンガン鳴らしながら3階に到着するとエレベーターの中から同じ階に住むご婦人が買い物袋を持って現れた。きっと夕餉用であろう。豆腐がいくつも入っているのが見えた。
「ご苦労様です」
「旦那が湯豆腐が好きでねぇ、これがないと物足りないってご飯食べないのよ」
あはは、と笑って話を続ける。
「そういえば、真田くん彼女ができたの」
「なっ」
「この間ベランダに女物の下着が干してあるのを見たわよ」
「あっあれは……」
「あはは、照れなくてもいいのよ。3日前に一緒に歩いてた子かしら?可愛い子ねぇ」
「………あれは某の嫁になる予定です」
「まあ」



ご婦人と分かれて見えなくなったのを確認し、声を抑えて大きくガッツする。花嫁衣裳のを想像してスキップする足取りはとても軽かった。


嘘に花咲く

一度言ってみたかったのだ!


(08.01.28)