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「ただいまー」 玄関が開く音がしてどでかい声が聞こえる。一人暮らし用の小さなこたつでぬくぬくと暖まっていた体に冷たい空気がまとわりつく。それ以上玄関開けっ放しにしないで。口を開くのも面倒臭いので頭で念じてこたつの中に潜り込んだ。 「あー疲れた。今日フルコマだったんだよ。頭働かせすぎたー俺やっぱ体動かす方が専門」 私のアパートに帰ってくるなり鞄とマフラーを放ったうえ、コートを投げてこたつに潜り込んでくる。コートは上手く椅子に引っかかったようだ。椅子の軋んだ音が聞こえた。 「あー、俺末端冷え症かも。暖めてぇ」 「冷たっ!足くっつけないでよっ、せっかく暖まってるのに」 普段なら甘えた声を出す慶次が可愛いなーとか思ってぐしゃぐしゃに頭をなでてあげたい衝動にかられるところだけど今は迷惑極まりない。 「つれないねえ。一緒に暖まろうぜ」 「ちょっと何してるの、うわ、やめて 狭い 手冷たい 元の位置に帰れ!」 こたつを捲られているのと慶次の外から帰ってきたばかりの体が冷気を運んで私はますます縮こまる。 蹲っていたら奴が頭を突っ込んでこっちに潜ってきたので足で慶次の肩をぐいぐい押し返す。 暖かいのと慶次を天秤にかけたら暖かい方が勝った。寒いのは駄目だ。 激しい攻防戦を繰り広げるものの、多少温くなったとは言え未だにアイス並に思える慶次の手がぐわしっとそれはもう思いきり私の太股を掴んできて寒気が走った。 「ぬくいなー」 極寒の手で巻きついているこの男にとてつもなくイラッときて私はありったけの力を籠めて慶次のポニーテールを引っ張ってやった。 「痛ぇ!」 「ばかたれ!ポニーテールちょんぎったる!」 「そんなに怒ることかよ!」 (07.11.19) |