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やっと日本へ帰ることができる。 ドイツでの生活には慣れたがやはり日本の生活が我に一番合うと思う。 降り立った空港には迎えはない。 は迎えに行きたいと言ったが日本ではまだ長期休暇まで日にちがある。 運が悪いことにの試験と我の帰国の日が重なり 「迎えは良い」と言わざるを得なかった。 の大学には再試という救済措置がない。 単位を落とすことはできないのだ。 久しぶりに自宅のマンションへ帰る。 家具が少ないがらんとした部屋。 相当汚くなっているだろうと思ったが床は埃一つ無く磨かれている。 がやったのだろう。 明日会いに行ってやろう。 嬉しそうに微笑む顔が目に浮かぶ。 早く明日になればいい。 我は長いフライトで疲れた身体を休めるためにソファーに横になる。 瞼はすぐに降り、気持ちの良い眠りがやってきた。 いい匂いがする。 何であろう。 とても懐かしい感じがする。 未だ夢見心地で瞼を開けるとカーテンから西日が差しているのが見えた。 もう夕方か。 重たい身体はまだ動こうとしない。 眼だけ動かして匂いの正体を探す。 すると、キッチンにがいるのが見えた。 エプロンをして真剣に料理をしている。 「ん、おいしい」 にっこり笑うを見ると目頭が熱くなる。 半年振りに姿を見た。 こんなにも我はを求めていたのか。 は我が見ているのに気付かず料理を続ける。 その後姿をただ眺めていた。 「元就、起きた?」 「…あぁ」 暫くして出来た夕食を運んできたが我に気付き声をかける。 身体を起こすとブランケットが落ちる。 「クーラーつけてたからお腹冷えるといけないと思って」 我は細やかな気遣いをするが気に入っている。 「ちょっと早いけどお腹すいてるでしょ。夕食にしましょ」 「あぁ」 温かい夕食。炊きたての飯に鯖の塩焼き、味噌汁と漬物。 簡素だが我の嗜好を熟知した味付け。 「簡単なものしか作れなかったけど…」 ごめんね、と言う言葉にくすりと笑うと小首を傾げてこちらを見る。 「なぁに?」 「何でもない」 「気になるよ」 「食べるぞ」 いただきます、と手を合わせてその先の言葉を遮った。 食後の満腹感に誘われては睡魔に襲われたようでうとうとしている。 無理もない。試験が終わったあとすぐにマンションに来て一通りの家事をしたのだから。 本来はのほほんとしていてこの様に忙しなくすることに慣れていないのだ。 頬をなでてやると瞳が開いた。 「お風呂作らなきゃ」 半分意識が夢の中のまま立ち上がろうとする。 「ここにいろ」 腕を引っ張られたはバランスをくずして我の上に倒れ込んできた。 それを抱きとめて背中に手を回してなでてやると猫のように擦り寄ってくる。 「元就…」 はうっとりして我の肩に顎を置き身体を預ける。 身体に感じる温かさと柔らかさに蕩けそうだ。 両手を頬に滑らせて額と額を合わせるとは自然に眼を閉じる。 あまりに幸せそうな顔をするのが愛らしく、額・瞼・頬そして唇に口付けをすると 「ふぁあ…」となんとも言えない声を出して降る口付けを恍惚の顔をして受けていた。 この猫を離すのは惜しい。 抱き込んだ背中を背骨を辿るように撫でながら提案する。 「一緒に風呂に入るか」 は何に驚いたのか眼を見開いて頬を染める。 「え、えっ元就っ!変なこと言わないで…」 俯いてしまった。 我は何かおかしなことを言っただろうか。 一緒にいられる様、提案したつもりなのだが。 甘やかな柔らかな 「あ、そういえばお帰りなさいって言ってないや。」 「む、」 「元就、お帰りなさい」 「あぁ………、ただいま」 ふにゃりと笑ったに頬が熱くなるのを感じた。 (07.08.30) |