私は朝、机の中にラブレターを見つけてしまった。 え、机間違えたんじゃないの。とか思ったけどセンスのいい封筒の端に私の名前が書いてある。 人は人生に三度モテ期があるって聞いたけど、今がそのモテ期?とりあえず差出人を確かめたくていそいそと封を開ける。 聞いたことのある様な無い様な名前だ。 必死に思い出そうとしているところで私に影が被る。
「Good morning honey」
「政宗」
、こんな教室の角で座って何してんだ?陰気な女はモテねぇぜ」
「陰気で悪かったわね。でも、おあいにくさま。」
私は見つけたばかりの手紙を政宗にちらつかせる。 文面の方を見せたけれどすぐに仕舞い込んだので何が書いてあったか内容までは分からなかったようだ。
「あぁん、何だよそれ。」
「ラブレター」
「What?!」
政宗は眼帯に隠れていない方の目をこれでもかというくらい見開いている。 私がラブレターを貰うことがそんなに意外なのか。
「お前!それ誰からだよ!」
「さぁ?知らない名前だった。違う組の人なんじゃない?」
「なんて名だ?」
「駄目よ、秘密。こっそり手紙くれるくらいなんだから名前を言ったら相手が傷付くでしょ」
最もな意見に政宗は口ごもる。 あちこち視線が定まってなくて、いつも堂々としている彼はどこに行ったんだろう。 その内チッ!と舌打ちしてどこかに行ってしまった。



「ねぇ、朝から竜の旦那ちゃんのことずっと睨んでない?」
「そうなのよ!何か怖いんたけど」
「何かしたの?」
「えー、無断で教科書借りたけど特にこれと言っては何も…」
「竜の旦那、数学の教科書無くして叱られてたけどそれって…」
朝のホームルームから授業中や休み時間ずっとあの鋭い視線で睨まれ続けた私はぐったりと疲れてしまった。視線の暴力だ!
「あ、四時半だ。ごめん佐助」
「ん?帰っちゃうの?用事?」
「そんなとこ」
また明日。と佐助につげて放課後の静かな廊下を呼び出された音楽室に向かう。 手紙の差出人はもう来ているだろうか。



「あの!さん」
「え、えっと、こんにちは」
「突然手紙なんかしちゃってごめん。俺3組の…ほら、文化祭のときライブのドラムやったんだけど覚えてないかな?」
「うん、なんとなく」
「あ、その、何ていうか演奏が終わって控え室に戻った時さんが「良かったよ」って行ってくれたんだ」
「うん」
「その時の笑った顔が忘れられなくていつの間にか好きになってたんだ。よかったら、俺と付き合ってくれないかな」
告白されることは分かっていたけど、やっぱり動揺するものだ。 なんて答えようか?こんなときなんて答えたらいいの? どうしよう、返事を考えておけば良かった。



「Hey!Boy?」
「うぇ?政宗!」
「伊達!」
「あんた見る目はいいな。だがな、こいつは俺の女だぜ。You see?」
眼光鋭く相手の男の子を睨み付けてにやりと笑う政宗。 何てこと!私こいつの女になった覚えはない!! でも、手を引かれて走り出した政宗の横顔を見ているとそれでもいいかなぁ と思った私はさっきのセリフを心の中で繰り返して一人にやけてしまった。


ラブ・ステップ



(07.08.07)