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「ねぇ、慶次。こっちとこっちどっちがいいと思う?」 私の期待が多分に含まれた問いかけは見事に独り言で終わった。私をショッピングモールまで連れてきたあの子の姿が無いのだ。ぐるりと店内を見回してみるが影も形もない。人よりすくすく育った彼は目につき易く、見つけるのに苦労しないのだ。トイレかなぁ、見当をつけながら左右のトップスを再度見比べて右の方をレジへ持って行く。実は慶次に問いかけるまでもなくどちらを買うか既に決めていた。ほら、やっぱり自分が選んだ物が人に選んでもらった物と同じだと安心するじゃない。寂しい財布からお金を出すんだから衝動買いはできないわ!まあ納得した買い物だったとスッキリしながら店を出るがやはりあの子はいなくてため息をつく。 「しょうがないなあ」 電話をしようと鞄から携帯を取り出すと着信を知らせる表示が出ていた。 「なになに、7階のゲーセンにいるよ……」 つまり慶次は私とのショッピング(主に私の服選び)から逃げたのだ!連日のテスト週間からようやく逃げ出しやっとの休日を満喫してやろうと脱力しているところにいきなり現れて「さぁん、ずっと会えなくて寂しかったんだぜ」なんて甘えて言うから「お?可愛いじゃん」と思って疲れた体(主に頭なんだけど)に鞭打って出てきた私は可哀想だ! 私は登りのエスカレーターではなく下りに乗り4階のインフォメーションセンターへ向かう。お願いします、と要件を伝えると目を丸くした後、笑いを堪えながら案内嬢としての役割を果たしてくれた。(素敵!) ………………………………………………………………………………………… お呼びだしを申し上げます。前田慶次様 前田慶次様、お連れの方が4階インフォメーションセンターでお待ちです。至急お越しくださいませ。 ………………………………………………………………………………………… エスカレーターから見知ったポニーテールが見える。キョロキョロと辺りにを見回したあの子は天井にぶら下がっている案内プレートを見つけてこちらへ走り寄ってきた。長いポニーテールが揺れる。しかし一行にこちらへ来ない。案内嬢とこっそり様子を窺ってみるとその場で忙しなくうろうろしている慶次が見えた。こちらへ来ようと足を踏み出すが少し歩いて直ぐに戻っていく。下を向いているその顔は耳まで真っ赤だ。 |
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何故ならここは女性用下着コーナーだから!
受付嬢と私はお腹を押さえて笑いを堪えるのに必死でした。 (さんひでぇよ!) (よしよし、ごめんね?) (08.03.17) |